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最終戦開始前のお話
会合のためにマーキンス邸を訪れたガ軍第6中隊のサンドレド隊長と付き人として同伴したキティス
「ご無沙汰しておりますマーキンス卿」
「アークサンドヒル以来ですかな、サンドレド殿。どうぞこちらへ。
クラウディア、会議は夜までかかるだろう。お付の隊士殿を客室にご案内してさしあげなさい。
夕食をこちらで用意させよう」
「はい、お父様」
―
「騎士クラウディア・・・その格好は・・・」
「私はもう騎士じゃありませんよ、キティス
先日正式に叙聖をいただきました」
「っ!?
なにを馬鹿なことを!それじゃあマーキンス家は誰が・・・」
「えぇ。騎士を戴くマーキンス家はお父様の代で終わり。お父様が除隊される際に爵位を返上するそうです。
跡継ぎは女子一人、お母様も逝ってしまいましたから、お父様もこうなることは予期していたそうです」
「婿は・・・とらないのですか・・・?」
「私はルキナ様の御許で生きると決めましたから・・・、お父様も納得してくれました。
本当、いつも迷惑をかけてばかりで申し訳なく思っています・・・。」
「貴女は・・・どうしていつも・・・!
地位も・・・実力だって持っているくせに!
どうして貴女はそれに背を向けようとするんですか!?」
「私は、そんなものが欲しかったわけじゃない・・・。
私はただ・・・ただ・・・憧れていただけ・・・。
御伽噺の・・・正義の騎士達に・・・」
「ならば目指せばいい!貴女にならそれができるはずでしょう!?
それこそガルガディアの英雄にだって―」
「私に他国の正義を踏み潰せというのですか!」
「・・・っ!」
「キティス、私にも貴女が羨ましかった。
貴女の強い心が、真っ直ぐな瞳がとても羨ましかった。
貴女ならいつかきっとお父様のような立派な騎士になれるって、私はそう思うの。
無理なんです・・・私には・・・。
正義を語る資格も・・・選ぶ覚悟も私にはない・・・」
どうして・・・この人はこうも頑なで、弱くて、
―そして優しいのか
「一度商人の家を捨てた私には何もなかった・・・貴族の地位も、騎士の名誉も」
「それでも私はここまで来た!国軍として戦場で皆と肩を並べることが出来た!
私は諦めない・・・この国<ガルガディア>を守る力になってみせる!
貴女がいらぬと捨てたものを全部手に入れてみせる!地位も!力も!名誉だって!」
(叶わなかった貴女の夢さえも、全て)
「貴女が剣をとれないというのなら、その剣は私が握りましょう
だから貴女は、ただ世界の皆を想って祈っていればいい、『シスター』クラウディア」
(貴女にはもうわからないのでしょう・・・。
貴女の血が、貴女の剣が、ガルガディアの未来を照らす一条の光たりえたことを。
それでも貴女がただ祈り続けることを選ぶというのなら、
いつかその祈りが世界中に届くように、私はその礎となることを誓いましょう)
ここはショコラのメモ置き場となります。