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気分屋ショコラのメモ置き場。 2008/7/21 開設。
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グランミリオン首都、ローサンジュに本拠を置く、「召喚魔法デルガ学派協会」
その学徒である召喚士、アーレスには欠陥があった
それは獣はおろか、精霊、一切の魔法生命を召喚することができないということ
素質か、はたまためぐり合わせか、

そんな彼にも一つだけ取り柄と呼べるものがあった
それは「無機物の召喚・精製」
召喚獣と心を通わせることが出来ない代わりか、彼は多種多様な「無機物」を呼び出すことが出来た

ただし種類は豊富とは言え、獣と心を通わせることが命題である召喚士にとって、それは初級召喚にも価値が劣るものであった

焦れていた
いくら喚びかけても応えてはくれないことに


少女がいた
後ろで一本に結われた長い亜麻色の髪、翠の瞳、アーレスより二つ年上の、彼の幼馴染
レティシア
彼女は数年前まで彼の良き姉であり、今では彼の想い人であった


とある折、彼は学院の書庫で一冊の古文書と出会う
異世界の旧き神との契約
聞いた事のない名だった
このような大層な召喚術式であれば良かれ悪しかれ名前が知られていていいはず
眉唾物だろうか
それでも彼はその名に興味を引かれた
「宿望の剣」
剣の召喚 もしかしたら自分になら喚べるかもしれないと 彼は期待してしまった


召喚陣が赤黒く光る
あまりにも邪悪すぎる光 危ないかもしれないと 心のどこかでは考えていた

煌く光が見えた
青白く流星 光は砕け 赤い光と交じり合い アーレスを飲み込んだ

声が聞こえた

力を求めよと

我を求めよ 我は力 我は剣 
我は主が宿望 主が宿望は我なり 我を求めよ 力を求めよ と

 

湧き上がる欲望があった 渇望があった 羨望があった それは宿望であった
本能が危ないと叫んでいた だかその力はあまりにも甘美であった

 

赤い鬼は自らの故郷に牙を向いた
何人も 何人も手にかけた

 

彼が最初に見たのは愛しい人の笑顔
最初に感じたのは左頬の痛み
赤黒くぬれた自分の手 刃に貫かれた彼女の体
彼女は最期の刻まで 微笑んでいた


彼は一切の罪を問われなかった
「星の欠片」
今、グランミリオンだけでなく、グランドリン全土で異変が起きているという

「無事でよかった」と知らぬ人が言う
何が「無事」でよかったのだろうか
自分の身体か?
多くの人を、愛しい人さえも失ってしまったこの自分か?


星の欠片が彼女を殺したのだろうか

 


否、自分が殺したのだ
自分の手で殺したのだ
彼は自分を恨んだ 憎んだ

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甘味茶屋ショコラ
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いらっしゃいませ。
ここはショコラのメモ置き場となります。
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